重ね合わせの理で複雑な回路を簡単にする

重ね合わせの理とは

電圧源や電流源が1つであれば、さほど難しくない回路計算ですが、2か所以上存在すると、回路計算は複雑になります。見ただけでも、計算するのが億劫になります。そんな時に助け舟になるのが、「重ね合わせの理」という定理です。オームの法則やキルヒホッフの法則だけでは、膨大な量の計算式になってしまう回路計算が、簡単に求めることができるとても便利な定理です。フランスの哲学者であるデカルトも300年以上前から言っています。「困難は分割せよ!」と。

重ね合わせるという考え方

「重ね合わせの理」では、複数の電源要素を1つに着目して、回路計算を単純にする定理です。まずは、こんな回路を考えて見ましょう。電圧源にE1とE2があります。その先の負荷として、抵抗R1、R2、R3が存在します。

電圧源が二つ存在する回路

図1:電圧源が二つ存在する回路

この回路において、電圧源E1を基準として考えると、抵抗R1と並列接続されているR2とR3で構成されています。(図2)

E1だけで考えた回路

図2:E1だけで考えた回路

この時の接続点Aの電圧は、図3の式で導き出せます。これは、E1の電圧からR1にかかる電圧を引いた差分がR2とR3の両端にかかる電圧V'1として、図3中の分圧比で示した式に該当します。同じように、R2およびR3の抵抗においても、これまでの式や定理を使用して導き出せます。下記式中のR23は、抵抗R2とR3が並列接続されているという表記としています。

接続点Aでの電圧算出式

図3:電圧源E1の時の接続点Aでの電圧の算出式

次に、もう一つの電圧源E2を基準にした場合、抵抗R3と並列接続されているR1とR2で構成されています。(図4)

E2だけで考えた回路

図4:E2だけで考えた回路

この時の接続点Aの電圧は、図5の式で導き出せます。これは、E2の電圧から、R3にかかる電圧を引いた差分がR1とR2の両端にかかる電圧V"1とみなすことができます。従いまして、接続点Aの電圧=V"1と考えることができます。

接続点Aでの電圧算出式

図5:電圧源E2の時の接続点Aでの電圧の算出式

この求めたV’1とV”1の総和がV1となり、接続点Aにかかる電圧として求めることができます。(図6)

重ね合わせの理を用いた電圧算出式

図6:重ね合わせの理を用いた電圧算出式

式も複雑に見えますが、並列抵抗の抵抗値がわかれば、電卓ですぐに計算できるレベルです。これこそが、「重ね合わせの理」の便利なところではないでしょうか。

実際に測ってみましょう

今回の動画では、図1の回路を図2および図4のようにそれぞれの5.0Vと2.5Vの場合に分けて電圧を測定し、図1の状態で測定した時の電圧の総和が等しく、総和の結果が単純加算のため線形であると言うことが確認できたと思います。

動画の中では、E1(5.0V)を基準にした時の接続点Aの電圧は、PixelPulse2上で1.31Vを確認しました。E2(2.5V)を基準にした時の接続点Aの電圧は、PixelPulse2上で、1.40Vを確認しました。E1、E2の両電圧源をつないだ場合、約2.7V程度の電圧を観測しました。計算値ではどうでしょうか?(図7)

重ね合わせの理を用いた計算値

図7:重ね合わせの理を用いた計算値

今回の定理では、この総和が実際の回路に流れている電圧に等しいと言うことなので、1.31V(E1の場合)+1.40(E2の場合)=2.71V(E1とE2を同時に電圧をかけた場合)が観測できました。実際に、計算式に値を入れてみると、2.86Vという計算値になりました。誤差は、0.15V生じています。

これは、約5%の誤差が生じている計算になりますので、抵抗の誤差と一致していると言えます。いかがですか?理論と実測値の違いを自分で感じてもらえればと思います。

確認してみましょう

今回の講座の内容を理解するために、下記の2問に挑戦してみてください。答えは、次回のこのコーナーでお伝えしますよ!

【Q1】今回は、5Vと2.5Vを使用しましたが、3.3Vの時のV1の電圧を測ってみましょう。
【Q2】E1とE2を2.5V-3.3Vや5V-3.3Vに変えた場合の結果が、総和になっているかを確認してみましょう。

まとめ

今回は、キルヒホッフの法則では複雑になってしまう回路計算を簡略化できる「重ね合わせの理」という定理について学びました。複雑な回路は、分割して考えましょう!Let's Try Active Learning!今回の講座は、以下をベースに作成いたしました。