テブナンの定理で未知な回路網を単純化する

テブナンの定理とは

複雑な回路に複数の電源が存在する回路は、いわば、未知の回路網(ブラックボックス)。そんな未知の回路網の回路計算ってどうやるんでしょう。そこで、この講座では「テブナンの定理」を学びましょう。これは、複雑な回路網を、電源と抵抗に置き換える「等価電圧源」として考えることができるとても便利な定理です。アメリカのソローという思想家も「人生は単純化で上手くいく!」と言っています。これにあやかり、「回路も単純化で上手くいく」と考えて取り組みましょう!

未知の回路網を等価回路に置き換える手法

「テブナンの定理」は、図1のような未知の回路網に対して1つの電源と1つの抵抗(正確には、インピーダンスと言ったほうがいいのかもしれません。)に置き換える「等価電圧回路」として考える定理です。早速どんな手法で考えるのか見ていきましょう。

未知の回路網

図1:未知の回路網

まず初めに、電圧源として考える場合を見ていきましょう。図2のように、電圧源として考える場合は、端子間A-Bの先には、未知の回路網に内在する電圧源があります。端子間A-Bで観測できた電圧をE0とした場合、内在する起電力E0と内部抵抗R0が存在するとみなしますが、端子間A-Bが開放されているため、内部抵抗R0による電圧降下は0になります。したがって、端子間A-Bには電圧E0が現れることになります。

端子間A-Bの電圧E0に着目

図2:端子間A-Bの電圧E0に着目

その次に、抵抗だけの回路で考えましょう(図3)。端子間A-Bには、未知の回路網の抵抗成分が存在し、内部抵抗R0として存在すると考えます。この場合は、電圧源は短絡(ショート)したものとして、抵抗だけの回路として考えます。

端子間A-Bから見た抵抗R0に着目

図3:端子間A-Bから見た抵抗R0に着目

            

ここで、端子間A-Bに抵抗Rを接続すると、閉回路を形成し、電流Iが流れます(図4)。

端子間A-Bに抵抗Rを挿入した時の等価回路

図4:端子間A-Bに抵抗Rを挿入した時の等価回路

この時の電流を求める式は、オームの法則を用いて、図5になります。

抵抗Rに流れる電流Iの算出式

図5:抵抗Rに流れる電流Iの算出式

  

つまり、端子間A-Bに抵抗Rを接続して流れる電流Iと端子間A-Bの電圧がわかると、未知の回路網である等価回路の構成要素が分かるようになります。テブナンの定理の理解をさらに進めていきましょう。

テブナンの定理を使って例題に挑戦!

ここでは、前回重ね合わせの理で使用した回路を、未知の回路網として見立てて、内部の電圧源と抵抗成分を考えて見ましょう。

図6の回路図は、図4のR0に該当する部分として、R1=2.2Kオーム、R2=4.7Kオーム、R3=1Kオームで構成されている回路として考えます。E0は、5Vとしておきましょう。

例題の回路

図6:今回考えてみる回路

            

ここに、外部抵抗R(1Kオーム)をつないで、この抵抗Rに流れる電流Iを考えてみます(図7)。まずは、E0とR1、R2で形成される閉回路内では電流が流れます。

例題の回路に抵抗Rを端子間A-Bにつないで、電流値を調べる

図7:例題の回路に抵抗Rを端子間A-Bにつないで、電流値を調べる

        

R1およびR2には、分圧の法則で説明した分圧比で電圧がかかります。R1にかかる電圧をVR1、R2にかかる電圧をVR2とすると、図8の式になります。

R1,R2の電圧式

図8:R1,R2の電圧式

            

さらに、端子間A-Bに抵抗Rを挿入する時、端子間A-Bからみた抵抗成分は、図9の式で表されます。

R3からみた合成抵抗値R0

図9:R3からみた合成抵抗値R0

            

また、端子間A-Bの電圧は図8のVR2の式で表されていますが、R3は端子間A-Bが開放されているため、R3にかかる電圧VR3は0として考えることができます。

            
R3の電圧は0

図10:R3の電圧は0

            

したがって、これを図4の回路構成に置き換えた時の算出式図5を用いて、図8の式と、図9の式から、図11の式に展開することができます。

Rに流れる電流Iの算出式

図11:Rに流れる電流Iの算出式

            

これに、抵抗値を入れて計算すると、図12のような計算式になり、0.9mAという結果になりました。

Rに流れる電流Iの値を計算

図12:Rに流れる電流Iの値

            

動画では、Volt Meterツールを使用して、Rにかかる電圧を測定しています。この時、0.93Vを示しています。次に、Meter Sourceツールで、0.93VをADALM1000のCA-CB間に設定します。ここで、誤差を確認しておきましょう。OPEN時において、すでに0.15mAを示しています。この状態で、0.93Vの電圧ソースに対して、1Kオームの抵抗に電圧をかけた場合に、1.08mAを表示していました。

            

実際の電流値は、1.08mAから0.15mAを差し引くと0.93mAとなり、計算式に対して約4%の誤差を示しています。抵抗や電圧、測定系などの小さな誤差の積み重ねが、この4%になったと考えることができます。

確認してみましょう

今回の講座の内容を理解するために、下記の2問に挑戦してみてください。答えは、次回のこのコーナーでお伝えしますよ!

【Q1】図6の端子間A-Bからみた合成抵抗値は何オームですか?
【Q2】図6の回路で、抵抗Rに1Kを使ってみました。この抵抗値を500オームから2Kオームまで変化させた場合、電流が一番流れる抵抗値は何オームのときでしょうか?

前回の答え

【Q1】V1に3.3Vの時、0.8Vでした。ちなみに、V2に3.3Vの時、2.0Vでした。
【Q2】V1=2.5V、V2=3.3Vの時、2.6V。V1=5V、V2=3.3Vの時、3.3Vでした。非線形ではなく、線形に電圧の変化が観測できました。
皆さんの答えはいかがでしたか?

まとめ

今回は、電源を含む回路網を単一電源と合成抵抗での等価回路に置き換えて考える「テブナンの定理」について学びました。複雑な回路は、単純化して考えましょう!Let's Try Active Learning!今回の講座は、以下をベースに作成いたしました。