日本のAIビジネス、遂に始動|APS SUMMIT 2019 MAR レポート

AI(人工知能)、NN(ニューラルネットワーク)、DL(深層学習:ディープラーニング)は実験段階を越え、実社会のビジネスへ活用できる技術へと進化しました。命令を待ち続ける既存のシステムではなく、自ら考え、自律的に人を助けるAIシステムには無限の可能性が秘められています。一方で、「日本のAIビジネスは遅れているのでは…」という悲観的な話も耳にします。本記事ではAPS SUMMIT 2019 MARを振り返りながら、日本のAIビジネスについて考えてみました。

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世界中が期待している、日本発のAIビジネス

APS SUMMIT 2019 MARでは、世界中で組み込みAIビジネスを支えている7社が登壇。最先端技術に関するエキサイティングなセッションが開催されました。NVIDIAはJetson AGX Xavier、XilinxはDNNDK、ArmはProject Trillium。LeapMindのDelta-FamilyやVIAのクラウドAI接続プラットフォーム、Vicorの電源モジュールPower Tablet。そして、ソニーの和製SoCを搭載したSPRESENSE。いずれも世界最高水準の技術を集約した製品です。そう、これらの技術を日本企業が活用し、AIビジネスを創出できると講演各社は確信しています。AIビジネス実現まで残すところは、あと少し。あなたの会社が製品を入手して、実際触ってみる直前まで来ているのです。

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AIビジネス成功の鍵とは。人材の獲得はもちろん、協業も視野に入れる

今回も多数の来場者の皆さまから、アンケートにご回答頂くことができました。本当にありがとうございます。すべてのアンケートを読ませていただき、集計した結果、日本のAIビジネスの現状が少しだけ見えてきました。

  • 「AIビジネスを推進する上で、困っていることは?」の設問
    • 『開発リソースの不足』がAIビジネスの主たる課題として挙がりました。
    • 『どこから手をつけてよいかわからない』という声も多くありました。AIは注目技術であるため、情報も加速度的に増えています。自信を持ってAIビジネス成功への道筋を立てにくいのではないでしょうか。
  • 「AI製品の開発・導入状況は?」の設問
    • 『ビジネスプラン検討中』の回答が圧倒的でした。皆さま、AIビジネスへの活用を前提に参加されています(Not-Hobby)。
    • 『技術キャッチアップ中』『AI技術セミナー開催希望』の方、はたまた『開発中』の方も多く見られました。つまり、既に多くの日本企業がAIビジネスの準備段階に入っています。

AIビジネスの立ち上げには専門的な技術の習得が不可欠です。さらに、システムの開発規模も爆発的に膨れ上がっています。そのため、AIビジネスを始動し、持続させるためには、「社内人材の教育」はもちろん、「新規人材の獲得」や「社外リソースの活用(協業)」が必要です。APS SUMMIT 2019 MARにて登壇したベンダー各社は、講演や展示で取りあげた製品のみならず、開発工数の圧縮に有効なエコシステムの紹介や、開発リソース不足に対応する方策も提案可能です。個人、所属部署、自社だけで悩むのではなく、是非お早めのコンタクトをオススメします。APSも初心者講座として「実ビジネスに活かせる」や「人材を育成できる」をテーマに、今後もコンテンツを拡充する予定です。お楽しみに!

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「情報を蓄積する方法」に加えて、「情報を活用する方法」を、常に意識しよう

AIビジネスとは、画像処理をするだけのビジネスでもなければ、高機能なプロセッサを使うだけのビジネスでもありません。蓄積した膨大な情報を「学習データ」として、NN/DLの仕組みを活用して「推論エンジン」を生成、これまでにない「体験や価値」を作り、収益に繋げていくビジネスです。AIビジネスを成功させるためには、『蓄積した経験値を、より斬新に活用すること』がとても重要になってきます。

エンジニアの皆さまの多くは(私も含め)、『どのように学習させれば良いか』や『どのように実装すれば良いか』といった技術的な観点が気になるところかと思いますが、ここは敢えて、開発のモチベーションを高めるため、「何が自動化されたら嬉しいか、そのためにはどのような情報を学習させたら良いか」という情報整理を、早速今日から始めてみてはいかがでしょうか。解析したい情報を決めることで、習得すべき技術も見えてくるはずです。

もし、社内にあまり情報を蓄積できていない場合は、学術用の無償データセットの活用をオススメします。参考として、下記に88個のデータセットをピックアップしてみました。シャンプーの販売数から、毎日の最低気温、金融関連の指数まで、様々なデータセットを簡単に入手できます。これらを活用することにより、例えば、自社製品の歩留まり率と気温データを組み合わせ、特定ラインの検査精度に警告を出す推論エンジンなども作れるでしょう。オリジナリティ溢れる、斬新な推論エンジンを検討してみてください。

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まとめ

海外発のAIビジネスが続々と登場し、国境を越えて日本市場で台頭している今、つい悲観的に「すでにAIビジネスに参入する領域はあまりないのではないか?」と考えてしまいがちです。ですが、AIビジネスは日々刻々と変化しており、まだまだ新しいプレイヤーが参入しやすい状況である、とも言えます。APS SUMMIT 2019 MARの講演内容を肴に、居酒屋で、ご自宅で、お酒を飲み交わしながらアイデアを創り、翌朝からサンプルアプリケーションを試してみてはいかがでしょうか。次回のAPSマガジンやAPS SUMMITにて、貴社のAIビジネスや、AIを支える先端技術を紹介できることを楽しみにしております。是非お声がけください!