5分でわかる「組み込みシステム」

組み込みシステムと汎用コンピュータ

「組み込みシステム」とは、機器の中にコンピュータが使われている製品の総称です。スマートフォン、自動車、テレビ、シーリングライトなど、電気を使うほぼ全ての製品に小さなコンピュータが内蔵されています。小さなコンピュータを内蔵することで、特定の仕事を任せることができるため、より便利な製品を実現できます。コンピュータに仕事をさせるための手順を示したものが「プログラム」です。

「組み込みシステム」と対になる単語として「汎用コンピュータ」があります。デスクトップパソコンやノートパソコンは、「汎用コンピュータ」製品です。どんなことでもできる汎用性から広く普及していますが、ひとつの機能にフォーカスすると組み込みシステムのほうが便利です。例えば、自宅にパソコンがあったとしても、ほとんどの方は、パソコンで目覚ましを設定せずに、専用の「組み込みシステム」であるデジタル目覚まし時計を使うでしょう。

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組み込みシステムは、ハードウェアとソフトウェアから構成されています。ハードウェアには、基板や半導体製品はもちろん、機械部品などが含まれています。ソフトウェアは、ハードウェアを動かすための基本的なプログラムと、基本的なプログラムを組み合わせて目的の機能を実現するアプリケーションから構成されています。組み込みシステムに内蔵されている小さなコンピュータのうち、比較的簡単な構造のモノを「マイクロコントローラ(マイコン)」、グラフィカルな表示や高度な通信機能といった様々な機能を実現できるモノを「マイクロプロセッサ」または「プロセッサ」と呼びます。

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デジタルカメラでわかる組み込みシステム

組み込みシステムの一例として、デジタルカメラを考えてみましょう。デジタルカメラは、デジタル写真を撮ってメモリーカードに保存する機器です。コンピュータの基本的な処理は、入力されたデータを加工して何らかの形で出力することです。全ての機能に、この入出力の関係が当てはまります。デジタルカメラの場合も同様に、カメラで入力した画像を処理してメモリーカードに書き出します。

デジタルカメラには、写真を撮るまでの手ぶれ補正やピント合わせ処理、光の情報を画像にする処理、メモリーカードに保存するための処理など、細分化すると多数の処理が含まれています。にもかかわらず、最近のデジタルカメラが遅いと思ったことはないと思います。これは、多数の処理(小さなプログラムの集まり)が、ほぼ一瞬の間に実行されているためです。「すぐ撮れる」という要件(制約)を満たしているため、ストレスなく撮影できます。

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例えば、シャッターボタンを半分押すだけで、すぐに期待している位置にピントが合いますね?ピントが変わるということは、中でモータが動きレンズを調整しているためです。さらに、デジタルカメラはピントが合ったかどうかを判定し、ピッという音で知らせてくれます。デジタルカメラの内部で動いているコンピュータは、常に人間の動作を検知しながら、最適に反応できるように設計されています。

ここでのポイントは、組み込みシステムには、それぞれ「制約」があるということです。「バッテリーで動かなければいけない」、「0.1秒以内に動かなければいけない」、「手のひらサイズに収まらなければいけない」などといった制約があります。ノートパソコンも小さくなってきていますが、名刺サイズにはなりません。バッテリーで1年間動き続けることも不可能でしょう。そういった課題を解決できる製品が、小さなコンピュータを活用した「組み込みシステム」なのです。