後付けWi-Fiで、お手軽IoT。Atmelのコネクティビティ・ソリューション。

SAM(SMART ARM-based Microcontrollers)シリーズによるARM®コア搭載製品をラインアップとしてきたアトメルジャパン合同会社(以下、Atmel)は、無線や有線によるコネクティビティに特化した製品を展開している。無線では、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBeeといったソリューションを用意している。ここでは、主にAtmelの無線接続に向けた戦略を紹介する。

SmartConnectと称した製品群をラインアップ

現在、あらゆる場所でさまざまな手法でシステムが接続されるようになってきた。その典型例が「モノのインターネット(IoT: Internet of Things)」のアプリケーションである。Atmelは、それら多くのシステムをより効率良く提供できるように開発者を支援している。

「Atmel SmartConnect」と称して、Atmelの充実したマイコンのラインアップにコネクティビティ機能を加えた製品を用意している。そのアプローチには、SiP(System in Package)化、モジュール化、チップセット化など、いくつかある。コネクティビティ機能は、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBeeなどの無線に加え、Ethernet、USB、CAN/LINなどの有線もある。

マイコンとしては、オリジナルのAVRに加え、ARMコアとしてARM7/9、Cortex®-M0+/M3/M4、Cortex-A5を用意しており、コネクティビティ機能と組み合わせたマイコンを提供できる。

IoTにおける端末とゲートウェイのインタフェース側を狙う

無線機能としてWi-Fi、Bluetooth、ZigBeeを用意しており、今後の無線通信の市場成長に向けたソリューションを展開していく。2014年7月に米Newport Media(NMI)社を買収した。NMIは高性能かつ低消費電力のWi-FiやBluetoothソリューションを展開しており、これにより自社の低消費電力マイコンとNMI製品を組み合わせたシステム提案を行っていく。Wi-Fiは、大容量データ転送に向けた規格もあるが、24Mbpsという比較的軽いデータに向けたものを扱っている。

Bluetoothでは、ローエナジーのBLE(Bluetooth Low Energy)だ。Bluetooth 4.0規格の一部として策定されたもので、最大1Mbpsの通信が可能であり、従来の1/3程度の電力で動作することができる。ZigBeeは、無線PAN(Personal Area Network)を実現するもので、海外ではメジャーに使われている。PANを構成できることから、工場や家庭などのクローズされたネットワークで使われることが多い。データ転送レートは250Kbpsとなっている。

Atmelが狙うのは、IoTにおける端末側とゲートウェイのインタフェース側となる。「端末側として、無線機能、センサー、MCUなどを単独または組み合わせることで、お客様のニーズに応じたソリューションを提供していきます」(柏木氏)。主なアプリケーションとして、健康、環境、FA、医療、ホーム、照明など幅広い。端末同士が一対一(P2P:Peer to Peer)で接続するものと、IPアドレスを持たせて接続する(IP-based)ものがあり、いずれの接続方法にも対応している。NMIの買収によってBluetoothも含めて、メジャーな無線接続技術がすべて揃ったことになる。

Cortex-M0+を搭載したSAM R21を新開発

ここからは、AtmelのZigBeeとWi-Fiの戦略を見ていく。ZigBeeのスタックとして、接続デバイスのベンダーが異なっていても問題なく相互動作するゴールデンユニット認証を得ているZigBee PRO R20、ZigBee LightLink、ZigBee IP、ZigBee RF4CEを持ち、さらにZigBee Home AutomationやZigBee Green Powerもある。デバイスはトランシーバのみのフロントエンドとマイコン内蔵を用意している。

マイコン内蔵の新製品が、Cortex-M0+を搭載したSAM R21だ。送信が+4dBm、受信が-101dBmという高感度な点、さらにアクティブ時150μA/MHz、スタンバイ時に4μA/MHzという低消費電力なことが優位点である。評価キットもあり、統合開発環境のAtmel Studio 6が対応している。さらにモジュールもある。AVRマイコンを搭載したものやフロントエンドのデバイスのみを搭載したモジュールとなる。2014年度の第4四半期には、SAM R21を搭載したモジュールの販売も予定している。

スタックやプロファイルは、Atmelおよびパートナーから用意されており、すべてAtmelを窓口として提供される。各スタックで必要となるメモリ容量も示している。「お客様は、各スタックがどの程度のメモリ容量が必要なのかを気にされます」(ガン氏)。

P2P接続とIP-based接続の2つを用意

Wi-Fiソリューションには、SmartDirect(P2P接続)ならびにSmartConnect(IP-based接続)の2つを用意している。SmartDirectはデュアルバンド(2.4GHz/5GHz)RFフロントエンドとマイコンのシングルチップSoCである。リモートコントローラやヘッドセット、マウスやキーボードなどのHID関連の製品への応用が簡単にできる。現在、「ATOZMO2000」と「ATOZMO3000」をラインアップしている。ATOZMO2000はオーディオ向けに特化させ、ATOZMO3000はキーボードなどに対応するポートを用意した。ATOZMO2000は、米国のケーブルテレビのWi-Fi対応イヤホンジャック付きリモートコントローラに採用されている。Wi-Fiの帯域幅の広さで、Bluetoothよりも高音質を実現している。

SmartConnectは、Wi-Fiのスタック処理をフロントエンド、TCP/IPのスタックをマイコンで処理するチップセットでの提供となる。バッテリ駆動のデバイスや各種スマート機器、ヘルスケア機器、ホームオートメーション機器、民生電化製品や産業機器など、さまざまなアプリケーションを想定している。製品として「SAM W23」を発表したばかりだ。SAM W23は、Wi-FiのSoCとCortex-M0+コアをシングルチップ化したMCUである。システム構成としては、後付け型と一体型がある。後付け型は、ホストのマイコンとシリアルで通信し、後付けしたシステムにWi-Fi機能を付加するものとなる。一体型は、モジュールのマイコンですべての処理を行うものとなる。「もともとハードルの高かったワイヤレスの機能が、Atmelのソリューションによって、マイコンのひとつの周辺機能としてご活用いただけるようになります」(帝理氏)。

今後もAtmelの展開から目が離せない。