ロボコン優勝の鍵となる、半導体製品はこれだ!

四足歩行や自律運転など多くの難題が設定された2019年のNHK学生ロボコン。間違いなく白熱した戦いになるでしょう。APSがスポンサーとなっている横浜国立大学「Robo+ism」も、連日連夜、様々な創意工夫を凝らして一次ビデオ審査を突破しました。本記事では、NHKロボコンを100倍楽しむために知っておきたい半導体技術に迫ります!

競技内容についてはYouTubeの動画をご覧ください。

▼目次 / 達成すべき機能

路面の凹凸をスマートに解決できる、四足歩行機能。

これまでのロボコンでは、車輪型ロボットが一般的でした。2019年のルールでは、コース後半を担当するメッセンジャーロボットは四足歩行型のみに限定されています。二足歩行ロボットも有名ですが、高い安定性と機動力を誇る四足歩行型のロボットは物流、運搬、災害救助、航空宇宙分野など幅広い分野で活躍しています。四足歩行機能の実現には、以下の要素技術が必要となります。

  • 関節(駆動部)を精密に制御する機能
  • 歩行の重心変化(機体の傾き)をセンシングする機能
  • モータの回転運動を足の昇降運動へと変換する機能

図

精密な駆動角制御に、FPGAを活用してみよう!

関節(駆動部)を精密に制御する機能には、マイクロステップ駆動(バーニア駆動)技術を活用したステッピングモータが適しています。マイクロステップ駆動とは、ステッピングモータに加える電流を目標角にあわせて多段階で調整。高いトルクを誇るステッピングモータを精密かつスムーズに制御する技術です。近年は、モータ制御回路にFPGAを活用し、マイクロコントローラ(CPU)の負荷なく高速で高精細な制御を実現できるシステムも登場しています。FPGA×モータの組み合わせ、いかがですか?

ステッピングモータ|Wikipedia

FPGAベースのシステムで、モータ制御の性能を向上|アナログ・ダイアログ

Avnet Ultra96|Zynq UltraScale+ MPSoC

タクティカルグレード品を贅沢に利用!? IMU活用術。

歩行ロボットの制御では、加速度(移動)、回転角速度(旋回)を精密に計測し、関節や重心の制御にフィードバックする必要があります。IMUは、加速度センサー、回転角速度センサー(ジャイロセンサー)など多種類のセンサーを統合したシングルパッケージのセンシング・ユニットです。秋葉原では1500円弱から販売されていますが、ここは敢えてADIS16480というタクティカルグレードのIMUを推奨します。超高性能IMUは、超高精度に計測できるだけでなく、ノイズ・キャンセリング機能、データ補完機能、分析機能など計測データの加工に必要な演算回路を内蔵しています。そのため、マイクロコントローラに負荷をかけることなく計測できますし、高価なPC、高度なフィルタ設計、複雑なデバッグ作業ともおさらばできますよ。

ADIS16480 MEMS慣性センサー 10DoF|アナログ・デバイセズ

無人アプリケーションの根幹、自律運転機能。

コース後半を担当するメッセンジャーロボットには自律運転機能も求められます。現在位置や周囲の状況を把握し、人の支援を受けることなく障害物を乗り越えながら、ゴールへと移動。オートモーティブ分野のADAS(先進運転支援システム)や産業分野の無人搬送車など、実社会でも採用が始まっている技術です。ただし、実現には数多くの難題を解決しなければなりません。

  • コース上の自己位置を推定する機能(自己位置推定)
  • 前方の障害物を把握するセンシング機能
  • 全ての情報を統合し判断する機能

先進運転支援システム|Wikipedia

無人搬送車|Wikipedia

図

既に優勝実績あり。自律運転システムを支える、GPUプラットフォームがクール!

最先端の自律システムで活躍するNVIDIA Jetson AGX Xavier。ロボコン参加チームの多くが利用しているロボット制御用ソフトウェア「ROS(Robot Operating System)」に対応。高度なグラフィクス処理能力によりロボットに搭載したカメラ画像を高速に分析。超高性能なAIプロセッサ(NPU)も搭載しており、自律運転機能に最適なプラットフォームです。ゲーミングノートPCをはるかに凌駕する性能を誇りながらも、消費電力はわずか30W。とてもクールな製品です。2017年の優勝校も採用していたNVIDIA Jetson。今年はどのような活躍を見せてくれるのでしょうか?

APSマガジン Volume.18|秒間32兆回の演算で日本の課題を解決。Jetson AGX Xavierがつくる、AI製品成功までの確かな道筋。

Robot Operating System|Wikipedia

図

力強い駆動を実現する、モータ制御機能。

サイコロ状のオブジェクトを投げ、規定の点数を獲得しなければならないコース前半を担当するメッセンジャーロボット。電気信号を動きに変換するモータ制御機能(モータドライバ:MD)の性能が勝敗を左右するでしょう。横浜国立大学Robo+ismも、長年の経験に加えて、最新の半導体デバイスを日々研究し、下記の要件を満たす高性能なモータドライバを今年も開発中です。

  • 力強い動きに不可欠な、大電流を制御できること
  • 正転と逆転を高速にスイッチできること
  • マイクロコントローラと接続しやすいインタフェースを搭載していること

Hブリッジ(英語版)|Wikipedia

図

みんなが大好きベクトルエンジン。あなたはもう使いましたか?

モータドライバには、ディスクリート部品を統合したモータドライバ回路や、シングルパッケージに制御回路を集約したモータドライバICの他に、モータドライバ内蔵マイクロコントローラがあります。例えば、東芝のTMPM37AFSQGは「ベクトルエンジン」と呼ばれるモータ制御用ハードウェアを内蔵した、Cortex-M3マイクロコントローラです。12V/24Vに対応し、過電流保護回路も内蔵しているため、少ない部品のみで簡単にモータを制御できます。外付けモータドライバと内蔵モータドライバの使い分け、出来ていますか?

APSマガジン Volume.13|モータ制御ならおまかせ!進化する東芝のベクトルエンジン

ベクトルエンジン|東芝デバイス&ストレージ株式会社

安定した電力を供給できる、お手軽電源はコレだ!

大電流を制御できるモータドライバを開発しても、安定した電力供給ができなければ意味がありません。しかし、電源回路の設計には、非常に高度なアナログ回路技術が必要です。もっと簡単に、電源が作りたい…とお悩みの方には、アナログ・デバイセズのμModuleレギュレータDC/DC電源製品をオススメします。シングルパッケージに、電源回路素子はもちろん、ヒートシンクまで統合。設計技術を習得する必要なく、とても簡単に大電力の電源を手に入れることができます。多数のモータが同時に動き、大きな電力が必要となるロボコンにぴったりのデバイスですね!

APSマガジン Volume.16|電源設計でもう失敗しない。μModuleが実現するかんたん設計

図

まとめ

このように、NHKロボコンに活用される技術は、実社会のアプリケーションにも十分活用できるモノばかりです。学生の方のみならず、開発の第一線で活躍している皆様も「自分ならどのように解決するか」を考えることにより、NHK学生ロボコンをより一層楽しめるでしょう。

それでは、また次回!ご期待ください!

前の記事を読む